日常小説その? 『先輩とぼく』

「イモ、お前さ、誰かに告白してみろよw」

先輩からの一言、この瞬間、僕は思わずむせてしまった。

時刻は丁度昼飯時、僕は火曜日のこの時間帯に授業が無く、ちょうど暇だったので部活の練習をしていた。

そんな練習も長く続けていると、自然に腹も減る。そんな僕を見かねて先輩は飯に誘ってくれたのだ。

上手そうな定食を奢ってもらえると知った僕は当然練習を終了し、いざ飯屋へ!

だが、なんでこんな話題に・・・。

「・・・・・・豚汁吹き出しかけましたよ」

「ハッハッハ、面白い顔してるなwww分かりやすいww」

誰のせいだ。

「でもな、一回性の中でお前は評判いいやで?」

それは初耳だ。

話を聞くと、どうやら一回生の女性6人で、『一回生の中で付き合うなら誰??』という簡単なゲームをしたらしい。

と言っても、一回生の男は僕ともう一人の計2人しかいない。つまり2択問題なのである。

「そのゲームで、お前はダントツで勝ってたんだぞ」

それも初耳だ。

だが、その結果になったのは、僕に魅力があるからじゃないのを知っている。

もう一人の男が、あまりにも人気が無いだけなのだ。

僕はよく知っている。アイツはいい奴だが、酒を飲むとあまりにもウザイ。

この前の合宿の時、アイツは酷かった。

やたらと周りの女性に告白するし(先輩問わず)やたらとセクハラする(女性に抱きついたり、膝枕を強要したり)

それに、僕が先輩とマジメな話をしているのに、やたらと絡もうとしてきたりと、空気が読めなくなるのだ。

普段は周りに気配りが出来てイイ奴なのに、そういう部分があまりにマイナスになっているのかも知れない。

僕はそれを冷やし中華に夢中になっている先輩に伝える。すると先輩は笑って。

「でもお前はどの女の子とも仲いいよなwww」

と茶化す。

だが、確かにそうかもしれない。

最近になって気が付いたのだが、女性が6人もいると、内部でたまに争いが起きそうな空気になるときがある。

僕は皆と仲がいいから今の今まで気が付かなかったのだが、それぞれ皆誰かに不満があったりするのだ。

それは下らない事だったり、面倒な事だったり、形は様々で。

何故か僕が相談に乗ったりすることがある。

(この前は目の前で泣きながら語られたよな・・・。)

一瞬、複雑な顔をしたのだろう。先輩が僕の顔を覗き込むように見る。

隠すように、しょうが焼きを口にかきこんだ。




「そうだなぁ〜○○○ちゃんなんてどうだ?」

「・・・・・・・・・」

なんで今、目の前で泣きながら語った子の名前を出すのだ・・・。

目の前の飯は、中々減らなかった。

決して量が多いワケではないのに・・・・・・。